禄その内にあり

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。12.30の午前中まで外来を行って、12.31午前中はインフルエンザ係り(5人以上も本物がでました。検査者多数、感染性胃腸炎も2-3人ばかし)。皆様もお気を付けください。

さて、最近凝っている論語から。弟子が孔子にこう聞きました。先生、そろそろ金儲けしたいのですが、どうやったら仕官できて高給取りになれますか?すぐに孔子はこう答えます。たくさん講義を聞いて、その内の怪しいのんを知識から除外する、そして最も確からしい内容を相手に伝えるようにしたら、もう給料はもろたようなもんやと。

いやいや、これよくやらかしてますねえ。例えば、僕、乳牛が常時搾乳できるのはおかしいと思っていましたから、ツレの巽さん(今、鎌倉でUKAを主にやっています、手術は1年待ちだとか、テレビにでてます、あっ、中の島の岩城先生も)から、牛乳飲み過ぎると乳がん・前立腺がん・子宮体がんになるリスクが高まるという論文がある、と聞いただけで、ついつい骨粗鬆の患者に紹介しちゃいました。でもこれについては反証もあるわけです。本来ならばぐっとこらえて、発現するべきではない内容でした。反省しています(つい最近も紹介しちゃいました)。  いやしかし、治療法が真逆になることもありますし。椎間板ヘルニアなんて、二昔前(一昔は12年)まで手術で圧迫を取ってやれば治療効果は高いし感謝されていましたが、今や内視鏡か保存的治療に打って変わり、あの当時の手術に至っていた経過は何だったのだろうかと思うほどです。ガイドラインもそう。なんかガイドラインは一人歩きしているみたいで、ガイドライン通りの治療でないと法律違反ではないかと思う患者もいてはります。いやいや難しいですねえ。ちなみにガイドライン通りに治療していれば、整形外科クリニックの対象治療患者は激減します。また、アメリカと日本で治療方針の違う疾患もあります。いやもう、何が“疑わしき”かわかりませんね。

ほんなら、全部患者に懇切丁寧に説明して選択してもらったらいいのかというと、いやいや日が暮れるどころか理解してもらうのに夜が明けるかもしれません。いや、理解できないかも。そらそうでしょう。学生自分からずっと医学の勉強してきて、なおかつ今まで医師になってから25年以上専門的なことを勉強してきて、それでも、ちょっとわからん内容を全くわからん人に懇切丁寧に説明できますか?ということで、ずるいんですけど、こんな時は自分が町医者であることを最大限に利用して、専門の先生にご紹介いたしております。

孔子先生、不肖の弟子をお許しください。ということで、一年の計は元旦に在り、今からデータベース作成に励みます。